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【Dr. Mayuko blog】ヒアルロン酸の副作用ー遅発性結節ー
2024-08-23
皆さんこんにちは
毎日暑い日が続きますが、お盆を過ぎて夜はすこーし涼しくなってきました。
この時期、我が家は週1ぐらいの頻度でBBQをします。先日も友人を招いて自宅でBBQをしました
がっつりしたお肉が好きな外国人たちの集まりはお肉の消費量もなかなかのもの。
この日のために1㎏のトマホーク(骨付き肉)を10㎏購入。ペロリとたいらげました
そしてお肉を食べた後、骨は食べられないのでそのまま袋に入れて捨てました。
その翌日がちょうどごみ収集日だったのでマンションのごみがまとめて外に出してあったのですが、我が家からでたトマホークの骨10本が丸見え
しっかり袋に入れて捨てたのですが、骨だけをもともとお肉が入っていた透明の袋に入れて捨てたようで、そのまま他のごみと共に路上に。
この骨、1本の長さが30㎝ぐらいあり、それが10本
そんなものが路上に捨てられていたら、これはもはや事件です
近所がざわつくレベルでしっかりした白骨10本が袋に。
あわてて外から見えないように隠したのですが、その姿も誰かに見られたら完全に不審者。
骨の入った袋を隠すように捨てているのですから、一歩間違えれば通報されます
ひやひやしながらも誰にも通報されることなく、無事美味しくいただいたトマホークの骨は回収されていきました。
さて、ここからは真面目な話。
今回のブログは、ヒアルロン酸の副作用の一つである遅発性結節のお話をしていきます。
聞いたことがある方もない方もいらっしゃるかと思いますが、何かと言うと、
ヒアルロン酸を注入した数ヶ月後ぐらいに注入部位が腫れたり硬くなったりといった症状が出てきます。
確率的には0.4%ほどと低いのですが、たまーに起こり得る症状ではありますので説明していきたいと思います
と言ってもこの症状、実はまだあまりわかっていないのです。
なので、今回は論文から現段階でわかっていることをお話ししていきます。
症状
文献によって症状も色々ですが、腫れ・結節はどの文献にも共通して書かれています。
痛みや赤みは出ることもあるし出ないこともあります。
発症時期
発症時期は大体3〜4ヶ月後と言われていますが、文献によると2ヶ月から1年半後まで報告がありました。
製剤自体が1年半から2年程かけて吸収されるため、1年半以降は起こる確率はとても低いと思います。
機序
機序についても実はよくわかっていません。
ヒアルロン酸注入剤は、高分子のヒアルロン酸であったり、高分子と低分子のヒアルロン酸のミックスだったりしますが、低分子のヒアルロン酸が炎症反応を引き起こし遅発性結節を引き起こすと考えられています。この部分に関してはどの文献でも一致した考え方です。
注入したヒアルロン酸が吸収される過程で高分子から低分子に分解されます。
高分子ヒアルロン酸は免疫系に対して抗炎症作用を示すのに対し、低分子ヒアルロン酸は炎症促進作用を示すため、非注入したヒアルロン酸が分解されて低分子ヒアルロン酸になると炎症が起こりやすくなります。
ただし、たとえ低分子のヒアルロン酸が増えたとしても何もないところに炎症は起こりません。
この時に重要なのが、炎症反応を引き起こす細菌、ウイルスなどの病原体の存在です。
注入したヒアルロン酸の周囲に何らかの影響で細菌・ウイルス感染が起きていると、低分子ヒアルロン酸は炎症反応を引き起こしそこに結節ができます。
ある文献では結節部位の生検をしており、非アレルギー性であったと報告されています。その他の文献でも、この結節はアレルギーではなく免疫反応によるものであるという考察が最近の文献では報告されています。
感染経路
では、その病原体の感染経路はどこなのでしょう。
まず一つ目は注入時の感染です。
ヒアルロン酸注入時にしっかりと消毒したり針に触れてしまったりしないようにと、注入する際は清潔操作に気をつけています。
そして、注入当日のまだ針穴が塞がっていない時にメイクをしたり、ペタペタと触ったりすると感染が起こることもあるので、当日は患者さんにも気をつけていただいています。
二つ目は、文献でも感染原因として多かった歯科治療です。
口の中は細菌がたくさんあります。歯のクリーニングや、虫歯治療、インプラント治療などで、口腔内の細菌が血液の中に入ると、血流に乗って細菌がヒアルロン酸注入部位まで到達していしまいます。ヒアルロン酸は顔にとっては異物ですので、そこに細菌が流れてくると、残念ながらヒアルロン酸に付着する確率が高くなります。歯科治療は意外と盲点ではありますが、クリーニングまで含めると治療されている方は多いのではないでしょうか。
文献によっては歯科治療前後2週から4週ほど間隔をあけてヒアルロン酸治療を勧めると記載がありますが、この部分のコンセンサスはまだ取れていません。
三つ目は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染、ワクチン接種後などです。
ウイルス感染によって免疫反応が起こりヒアルロン酸を異物とみなし炎症反応が起こります。
コロナワクチン接種後にこの症状についてSNS等でも話題になりましたが、コロナワクチンだけでなくそのほかのワクチン接種やウイルス感染でも起こります。
治療法
では遅発性結節の症状が出現たとしても治療法はありますし、必ず治る症状です。
症状出現時はステロイドの内服を1〜2週間、抗アレルギー薬、抗生剤の内服をします。
ある文献には抗生剤を内服してもしなくても経過に相違は無かったという報告もありますが、感染がおきている場合には抗生剤は必要になります。
その他、ヒアルロン酸を溶かすヒアルロニダーゼを症状が出ている部位に注入しヒアルロン酸を溶かすこともあります。
今回はやや難しい話になってしまいましたが、患者様からリスクについて聞かれることもありどこかでお話ししなくてはなーと思っていたためブログにしました。
この症状についてはまだわかっていないことも多いため、今回は現時点で出ている文献から情報をまとめてみました。文献によって様々な考察がありますが、今回お話しした内容は比較的どの文献にも共通している内容です。
こんな話を聞くと何だか怖くなってしまいますが、遅発性結節が出現する頻度は多くないですし、万が一症状が出たとしても治療で必ず改善するのでご安心ください。
≪ブログ監修≫
KUMIKO CLINIC
医師 橋本繭子
>プロフィール
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