【Dr. Mayuko blog】ボトックスが効かない時はどうする?
2025-08-14
こんにちは、橋本です。
毎日暑い日が続きますね。
寒さより暑さが苦手なのですが、我が家の鼻ぺちゃ犬は私よりも暑さが苦手です。
春頃にアレルギー症状があり獣医さんに行った時に、終始ブヒブヒ言っている犬を見て
「この子はずっとこういう呼吸の仕方ですか?」と聞かれ、
「そうです、いびきも人間以上だし、起きてる時も永遠にブヒブヒしてます」とお伝えしたところ、
「手術した方がいいです」とあっさり告げられました。
鼻ぺちゃ犬はこういうものだと思っていたのと、今までの獣医さんでは指摘されなかったので放置していたのですが、どうやら普通ではないらしい。
夏になると体温調節が辛い時期になるのでその前に手術をしようということになり手術をしました。
手術は軟口蓋を短くし、外鼻道を広げる手術とのこと。
鼻ぺちゃ犬は麻酔をかけるのもリスクがあるので心配していたのですが、
手術は無事に終わり、翌日会いに行くと嬉しさ爆発の犬が飛び出してきました。
その顔を見て思わず笑顔、というか爆笑。
なんと、鼻の穴がガッツリ広がっており、まるでサブちゃん!
急にサブちゃんになった我が愛犬との爆笑の再会には更なる爆笑ポイントが。
ブヒブヒは確かに落ち着いてはいたのですが、さらに声が森進一に!
かすれた渋い声にこちらも急に声変わり。
サブちゃんの顔した森進一に笑いを堪えるのに必死だったのですが、
先生も一生懸命手術をしてくれ、本人(本犬)も頑張っている姿を笑うわけにもいかず
“満遍の笑み“ということでなんとか誤魔化しました。
何はともあれ、無事に手術も終わり呼吸も楽になったのであれば、サブちゃんでも森進一でもなんでもいいのです。
この暑い夏も、渋みの増した愛犬は元気に走り回っております。
さて、「今回のテーマはボトックスが効かない時に考えること」について
実はこのテーマ、先日アラガンのweb seminarでお話しさせていただいた内容なんですが、セミナーは医療従事者向けでしたが、患者さんからよく効かれる内容でもあるのでこちらでも少しかいつまんでお話ししていきます。
まず、「ボトックスが効いていない気がする」や「他院でボトックスを打っていたけど効かなくなった」と言って来院される方がいらっしゃいます。
ネットなどでボトックスが効かない原因を調べるとボトックスの抗体の話が出てきますが、果たして全て抗体の影響なのでしょうか?
そんな時にまず何を考えるかというと、本当に効いていないのか?ということです。
ボトックスの効果は通常3〜5日ほどで出始め、しっかり効果がわかるのは1週間過ぎたあたりからです。
毎日鏡を見ていると、少しずつ変化するためその効果に気づきにくいことがあります。
当院では、必ず施術の前にはお写真を撮らせていただき、施術後の写真と比較して効果を見ています。
ここで、効果がわからないとおっしゃる患者さんの,施術前後のお写真を比較すると、効果は出ていることがほとんどです。
効果は出ているけれども、その効果がマイルドだったためシワが残り効いていないように感じることがあります。
初診の方は特にですが、最初は弱めにボトックスを打って2週間後に効果を見て、足りなければ追加で打つようにしています。というのも、ボトックスは効きすぎてしまった場合、効果が切れるまで数ヶ月待つしかないので、様子を見ながら調整して打っています。
初回で効果が分かりにくい場合は追加でボトックスを打つことでしっかり効果が出ることがあります。
写真で比較しても効果がわからない場合に何を考えるかというと、次の3つです。
1.技術の問題
アセスメントが不十分で、効かせたい筋肉に十分な量のボトックスが打てていないことがあります。
お顔の表情をしっかりと作ってもらい、どこにどんなふうにシワが入るかを見ることで必要な部位や量を判断します。狙った筋肉に効果を出すためには大事なポイントです。
2.製剤の問題
ボトックスはClostridium botulinum菌によって産生される毒素です。ですので、温度や光に敏感で保管方法が適切でないと効果がしっかり出ないことがあります。ボトックス製剤は通常、粉状の製剤を生理食塩水で溶いて作るのですが、その生理食塩水の量によって濃度が決まります。その濃度が適切でない場合や、薬を調整してから時間が経過してしまっていたりする場合も適切な効果が期待できなくなります。
3.患者さんの問題
エイジングは日々どうしても進んでいくのですが、何年も継続して治療をしてる場合は、やはりエイジングも進みシワの状態も変わってきます。シワができる仕組みは筋肉の問題だけでなく、皮膚のハリが失われたりすることも影響します。長年同じ部位に同じ量でボトックスを打ち続けていては、そう言った複合的なエイジンングサインに対応できなくなってしまい、結果ボトックスの効果がわからなくなってしまいます。
そして、その他の原因として、先ほどもお話しした抗体産生があります。
こういった様々な原因が考えられるのですが、一つずつ検討して何が原因か考え、本当に抗体を産生しているのかを見ていきます。
ここで、抗体産生について検討したいくつかの文献があるのでそれも合わせてご紹介します。
まず、ボトックスが効かない患者さん503人のうちでどのくらいの人が抗体を実際に形成していたかを調べた文献ですが、結果としては44.5%の患者さんが抗体を産生していました。
つまり、ボトックスが効かない患者さんを集めても、その半数以上は抗体とは関係なくボトックスが効いていなかったことになります。
ボトックスが効かなくなった時に、原因として抗体産生をすぐに疑ってしまいがちなのですが、
ここから考えても、ボトックスが効かない=抗体産生ではないということがわかります。
次にボトックスというと、美容医療で使うものいう認識が強いのですが、実は美容目的の使用よりも頸部ジストニアや神経因性膀胱などといった疾患の治療として使用する方が多いのです。そして疾患に対する治療として使用するボトックスの容量はかなり多い場合が多く、美容目的で顔に使用する量も50倍近く多く使用することもあります。
では、美容医療における抗体産生がどのくらい起こるかというと、それを調べた文献もあるのでご紹介します。
美容領域では眉間と目尻のシワに対する治療を行い、5876人の被験者のうちで抗体産生した割合は目尻0%(0人)、眉間0.4%(3人)という結果になりました。割合としてはかなり低いのですが、抗体陽性になった人のうち、最終的には全員が抗体陰性となりました。
美容領域で使用するボトックスは容量も少ないですし、その頻度も少ないので抗体を産生するリスクも低く、さらに抗体を維持する割合も低くなります。
さらに、この眉間で抗体を産生した人の効果も検証しています。
眉間で抗体産生した3名全員がボトックスの効果は持続していたことがわかりました。
ボトックス治療で抗体産生する頻度は低い上に、抗体を産生=ボトックスの効果が出ないというわけでもないことがわかりました。
ネットやSNSではボトックスで抗体ができたという話題をよく見ますが、実際はボトックスが効かない原因は抗体ではない可能性が高いです。
それをしっかりと見極めて適切に治療をしていくように診察の際には表情を作ったり、これまでの治療歴を聞いたりしながら治療を進めています。
ボトックスに関するお悩みがある方はご相談ください。
≪ブログ監修≫
KUMIKO CLINIC
医師 橋本繭子
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