足の筋肉の量というのは、実は生まれつき決まっています。ふくらはぎの筋肉の量が生まれ持って多い人や、トレーニングで鍛えられた筋肉は、一般的な食事制限や運動では細くなりません。ふくらはぎの中で盛り上がった部分にある腓腹筋、その内側にあるひらめ筋、この二か所の筋肉が発達していることでふくらはぎは太く見える場合があります。

人によっては、両方の筋肉が発達している場合と、片方の筋肉のみが発達している場合があります。また同じふくらはぎの筋肉の中でも、個人によって発達している箇所は異なってきます。治療の際には、その人のふくらはぎでもっとも筋肉が発達している部分を中心にボトックス注射を行って、全体のバランスを見ながら仕上げていきます。

ボトックスはボツリヌス菌から抽出されるたんぱく質の一種で、神経伝達物質であるアセチルコリンの伝達を弱める働きがあります。例えば、筋肉が緊張している箇所にボトックスを注入すると、神経を通じて、「筋肉を動かせ」という命令が弱められ、筋肉がリラックスした状態になります。これにより注射した箇所の神経を麻痺させて、筋肉の働きを抑制します。その作用でワキガや多汗症、シワやまぶたの痙攣、斜視や痙性斜頚などの改善にも役立っています。

ボトックスというのは、Ａ型ボツリヌス毒素から抽出した成分で、米国にあるアラガン社の登録商標薬剤のことです。そのため、ボトックスといえば一般的にはアラガン社の製剤名を指しています。A型ボツリヌス毒素製剤は、25年以上にわたり医薬品として、さまざまな疾患の治療に使われています。日本では現在、眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸（けいせいしゃけい）、小児脳性麻痺患者（2歳以上）の下肢痙縮（けいしゅく）などに伴う尖足（せんそく）、重度の原発性腋窩（えきか）多汗症、斜視などの治療において、健康保険診療が認められています。

美脚ボトックス～治療の流れ～

ふくらはぎは「下腿三頭筋」とういう筋肉からなりますが、その中でも「腓腹筋」をターゲットマッスルとしてボトックスを打ちます。

壁に手をついて爪先立ちでモリッと張り出すところをマーキング。

黒い印を大凡の目安としてボトックスを注入していきます

実際に注入していきます。

所要時間は約１０分～１５分程です。

効果が出現するのは、約１か月後。ボトックスが筋肉に作用し収縮が弱まることで徐々に筋線維が細くなる廃用性萎縮を起こします。