さて、まずはGLP-1痩身療法で、体重を減らしていきましょう。Ｔさんのお腹は内臓脂肪で突き出しているので、体重を減らすだけでもだいぶペタンコになりますよ。

そこも体重が減る事で多少は減りますが、前方部分よりかは減りが少ないと思います。そういったところは好きなタイミングで部分痩せ治療のクールスカルプティングなどの治療を積極的に併用していってもよいですよ。でも急いでなければまずは体重を減らしてそれでも落ちなかった部分をクルスカ（クールスカルプティング）で落としていくという順番でも良いです。とにかく早く変わりたい！とか予算感が問題なければ、最短コースは同時進行ですけどね。

GLP-1という注射製剤は、日本では保険診療の領域で糖尿病の治療薬として使われています。欧米では、糖尿病の診断がついていなくても、BMI27（欧米の肥満の基準値）を越える肥満症の方には減量薬として使っている薬です。現在糖尿病の診断がついていなくても肥満症の方はいずれそういった生活習慣病へ移行する可能性があるのでそれらを防ぐ目的で使いFDAの認可も下りています。まずはこのお薬で、Ｔさんの目標体重付近まで近づけていきましょう。

はい、そうです！普段注射になれていない方でも簡単に扱えるようにできていますので大丈夫ですよ。針は髪の毛位の細さですからちょっとチクッとするくらいです。一日の中で決まった時間に打つようにしてください。

GLP-1は元々消化管から出るホルモンで皆分泌されています。物を食べたりと言った経口摂取のタイミングで分泌されます。作用としては、胃の内容物の排泄を遅らせて膨満感を出し、食欲を抑制します。またそういった作用とは別に、脂肪の取り込みを抑えたり褐色細胞へ作用するとも言われており打っていることで太りにくくなる傾向になります

はい、特に意識して食事制限や食べ物の好みを変える必要はありません。使用している方でよく言われるのが、甘いものへの欲求が減ったとか、女性ですと月経前の暴飲暴食が減ったなど言われます。全く食べれないわけではないですし、慣れてくると普段くらいは食べれるようになりますので、どこかで食べ過ぎない様には意識してください。ただ、自己の意思だけで食欲をコントロールするのは忍耐がいる作業ですが、その辺が楽にいきます。あんまり我慢してないけど食べたいとも思わないなぁという感じで全体的に食欲が抑えられてきます。また、先程言った食欲抑制効果以外の痩身効果も色々とありますので、昔だったらこの量食べていたら体重増えたのにと言う位食べても増えにくくなります。

打って２～３日、なんとなくムカムカするような嘔気が出る人がいます。自然に消失していくので様子見て大丈夫です。あとは軽い便秘になる人がいますが、便秘が続く場合は便秘薬を飲んだりしてコントロールします。血糖値は、血糖依存性に血糖をコントロールするの、血糖が高い人の血糖は下げますが、元々血糖が正常な人には特に作用しません。

GLP-1痩身療法を始めたら必ず決まった時間に体重を測るようにしてください。理想は朝起床時の排泄後が良いかと思います。GLP-1はダイヤル式になっていて徐々に容量を増やしていく薬です。体重を測り、そのトレンドを見ながらどの量でいくかも決めていきます。どれ位のタイミングで容量を増やしていくかは、後ほど看護師から説明がありますし、オンライン診療や対面診療でも都度ご相談頂いて一緒に決めていきますのでご連絡ください。この後実際の製剤の使い方など看護師より詳しく説明しますね。